肝臓の働き1「栄養素の流通・生産」

肝臓は体に必要な栄養素を分解・合成して全身に送り出す働きをしています。

以下に栄養素ごとに肝臓の働きをご紹介します。

肝機能●肝臓を通して筋肉や皮膚になるたんばく質

たんばく質は、小腸でアミノ酸に分解されて肝臓へ運ばれた後、血液を経て各組織へ送られ、細胞内で筋肉や皮膚、髪、爪などの組織、酵素やホルモン、神経伝達物質などの材料になります。同時に、同じ量の古いたんばく質が分解されて血液中に出ていきます。また、摂りすぎたたんばく質は肝臓内に貯蔵され、必要に応じて使われます。

●肝臓を通してエネルギーになる炭水化物

炭水化物は、小腸で分解されて乳糖や果糖、ブドウ糖に変わって肝臓に運ばれた後、まとめてブドウ糖に統一し、全身にある約60兆個もの細胞のエネルギー源として供給されます。また、ブドウ糖は貯蔵には不向きなため、余った分はグリコーゲンという形に変えられ、いざという時のために貯蔵。血液中の糖が減ると、ブドウ糖の形に戻って血液中に送り込まれます。

●肝臓を通して細胞膜やホルモンになる脂質

脂質は、小腸でグリセリン脂肪酸に分解されて吸収された後、再度、脂質に合成されて肝臓へ。これが肝細胞でコレステロールをつくる原料となり、全身の細胞膜や体の機能を正常に保つホルモン、脂質の消化吸収に必要な胆汁酸をつくるのに使われます。肝細胞は3~5%の脂質を含有。常に新しい脂質と入れ替わっています。

●肝臓を通してエネルギー産生や体内機能を補助するビタミン

水溶性ビタミンのB群やCは、肝臓から血液を経て各組織へ運ばれます。ビタミンB群は、酵素の手助けをして、エネルギーを産み出すのに不可欠。ビタミンCには他の物質を還元する力があり、たとえば酸化型の鉄を還元して消化液に溶けやすくし、小腸からの吸収を高めています。一方、脂溶性ビタミンのビタミンA、ビタミンDビタミンE、ビタミンKは、脂質とともに吸収された後、肝臓へ。ビタミンAは、必要に応じてたんばく質と結合して体内に運ばれ、細胞に取り込まれて成長促進や粘膜維持に関わります。ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進。ビタミンEは、各組織の細胞に運ばれ、細胞膜の酸化を防止。ビタミンKは血液凝固に関わります。

●肝臓を通して骨や歯になるミネラル

カルシウムマグネシウムなどのミネラルは、肝臓へ送られた後、血液によって骨や歯をはじめとした各組織に運ばれて利用されますが、毎日一定量が尿や汗などに含まれて排出されます。